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2016年1月28日木曜日

表現者たち

1月7日に、山口小夜子のドキュメンタリー映画を見てきました。




もっと早く投稿しようと思っていたのですが、デビット・ボウイが亡くなったら、

なんだか書きそびれてしまいました。
生前特にファンというわけでもありませんでしたが、生徒さんのすすめもあり、

見ておかなければいけないような気がしました。
今のように「カリスマ」という言葉が簡単に使われていない頃のカリスマモデル。

私の認識はそんなところでした。


彼女が世に出るきっかけになった大手化粧品メーカーのテレビCMでは、

パリの街の中 階段を山口小夜子が降りてきます。

本人がクローズアップされる事なく街角の何気ないシーンが写し出される

といった映像なのですが、スキップをするように階段降りてくる彼女が、

傘を開いてふわっと飛び降りる その存在感にハッとしました。
「私は、演技ができません。」だったか「演技をしません。」だったか。
小夜子がそう言ったため、引きで彼女が、歩いてくるのを撮影したCMだそうです。
その後、特異な彼女は、ファッションの世界で一流のデザイナー達に

インスピレーションを与えるモデルになっていくのです。


私の印象に残った点は2つ。


1つは一流のクリエイターたちに与えた影響力の凄さ。
亡くなって何年も経つのにもかかわらず、インタビューに登場するデザイナー、

写真家たちは、それぞれの形でまだ彼女を追い求めているように見えました。
あるデザイナーは、彼女との関係をおわらせることができず、

生々しく彼女の存在を引きずっているように見えました。
山口小夜子に憧れてデザイナーや写真家の道を選んだ人達は、

小夜子を語るとき、彼女のことを話すだけで嬉しくて仕方ないといった風に、

喜びが顔から漏れ出していました。
映画の中でその人たちが、小夜子と仕事をしたメイクアップアーティストと

一緒になって、山口小夜子を再現するという試みが行われる部分があります。
プランの段階から、小夜子が彼等の心の中にいかに大切に

しまわれてあるかを感じます。
それは、小夜子が着ていた服に似せるのではなく、小夜子がしていたのと

同じメイクをするのではなく、新たに小夜子と向き合う作業でした。
モデルは  松嶋 花 。
小夜子をあまり知らない彼女。顔も似ていません。(私もしりませんでしたが、

小夜子自身もメイクする前の顔は、あの顔と大分違うのですね。

なんとあのミステリアスな目も実は、ぱっちりお目め!)
鼻の形が似ているから選ばれたということでした。
撮影が進むにつれ、現場はどんどん熱を帯びていきます。彼等の熱気に反応して、

松島花も動きが大胆になり、表情がみるみる変わっていきます。
アーティストたちの情熱が、小夜子を地上に降り立たせようと燃えていました。
すると、    の目に妖しげな光が射しこみました。

彼等の目の前に小夜子が現れたのです。
みな興奮し、デザイナーの目からは、涙がこぼれていました。
一流のアーティストが起こした奇跡。
ゾクゾクする光景でした。


そしてもう一点。
モデルの印象しかなかった彼女が、表現者であったということ。
山本寛斎のミューズであった小夜子は、舞踏の世界に惹かれていきます。

勅使川原三郎の舞台に上がり、山海塾と写真集を出したりしました。

(当時そんなポスターやニュースを目にした気がします。)

寛斎は、「洗脳されるな。」と、忠告したと言います。
パリコレのランウェイを颯爽とあるいたトップモデルが、地を這うような

パフォーマンスを見せる。
トレードマークの前髪とキレ長の目はかわりなくても、山口小夜子を愛する

人々の中には、その変貌を受け入れ難く思った人が当然いたでしょう。でも彼女は、その後も一つの場所に留まることはありませんでした。このドキュメンタリーを見て、演技ができない、しない小夜子が

一貫してやったことは、山口小夜子を表現することだったように思います。特別な歓迎をもって迎えられた小夜子の最後のランウェイは、

ファッションショーであり、舞踏の舞台のようでもありました。他のモデルとは、全く違う存在。どこで、なにを、どうやっても 山口小夜子になる。観ていて息苦しくなる位に。
「美しいとは、苦しいこと。」と言った小夜子。最後のランウェイの彼女は、パリで傘を開いてふわりと飛んだ彼女と 

何も変わっていませんでした。



他のどのアーティストとも違うデビット・ボウイも最後の変化を遂げました。

どんなにスタイルを変えても、デビット・ボウイだった。
あまりにかっこよすぎて、人間だということを忘れていたよ。



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